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No.57 - 首都圏交通大混乱の物理学 [技術]


爆弾低気圧


普通はあまりしないことなのですが、No.56「強い者は生き残れない」の半分ぐらいの "原形" は通勤電車の座席に座って書いたものです。

2012年4月3日(火曜日)、西日本から東日本にかけて「爆弾低気圧」と呼ばれる台風並みに発達した低気圧が通過し強風が吹き荒れました。私は首都圏に在住しているのですが、帰宅途中の私の乗った電車(小田急線)も相模川を渡れずに駅で3時間も立ち往生してしまいました。迂回することも何とか可能でしたが、たまたま席に座っていたのと、低気圧が通り過ぎればそのうち動くだろうと思ったので、運行再開を待つ間キーボードをたたいていたというわけです。繰り返し電車内にアナウンスされていたのは、次の3点です。

相模川の鉄橋の風速計が25m/secを越えたので電車の運行を停止する。
風速25m/secを越えると電車は転覆の危険がある。
10分の間、風速25m/secを越えない状況になったら運行を再開する。

なるほど、しっかりしているなと思いました。風速25m/secという明確な運行停止基準と運行を再開する基準がある。さすがに「転覆の危険」というのは大袈裟だと思いましたが(かなりの安全率が見込まれているはず)明快にそう言い切るのは良いと思います。印象に残るアナウンス内容でした。

西日本でもそうだったと思いますが、当日の首都圏の列車・電車はJRや私鉄を含めて広範囲に運行見合わせが多発しました。しかし駅での混乱は以前ほどではなかったようです。当日は13時帰宅や15時帰宅などの指示を早めに出した企業が多かったのです。3.11 以降の危機管理の進歩を感じました。

3時間の立ち往生に巻き込まれたりするといろいろと気になるものです。後日、ネットにアップされた各種の情報を読んでいて気付きました。風速25m/secで運行停止という路線もあるのですが、別の路線は風速30m/secを越えたので運行停止となったようなのです。すべての情報を知っているわけではないのですが、路線によって、

  ◆風速25m/secで運行停止
  ◆風速30m/secで運行停止

の2つの対応があるようです。

もう一つ思ったことがあります。「風速25m/sec、転覆の危険、運行停止」というアナウンスが印象に残ったのですが、小田急線はJRと同じく狭軌です。常識的に考えて軌道の間隔(=軌間、ゲージ)は広い方が横風に対して車両は安定するはずです。もし小田急線が標準軌だったとしたら運行基準も違い、運行停止はなかった、あるいは停止時間がもっと短かったのではと思ったのです。


標準軌と狭軌


車両の軌道間隔(軌間。ゲージ)は世界的な標準である「標準軌」と、それよりも狭い「狭軌」に分かれます。関西圏に在住している人は、メジャーな私鉄の多くの路線が標準軌のため(阪急、阪神、京阪、近鉄など)「私鉄は標準軌、JRは狭軌」という認識だと思いますが、首都圏は違います。

首都圏を走っている路線(地下鉄以外の主なもの)を軌間で分けると以下のようです。

標準軌(1435mm。4フィート 8.5インチ)
新幹線、京成、新京成、京浜急行
狭軌(1067mm。3フィート 6インチ)
JR東日本、小田急、東急、京王(井の頭線)、西武、東武

なお、井の頭線以外の京王線は1372mm(4フィート 6インチ)の、標準軌に近い狭軌です。

この軌間と風速による運行停止基準は何か関係があるのでしょうか。


運行停止基準


鉄道各社はCSR(企業の社会的責任)のため、各社の安全運行についての取り組みをまとめた「安全報告書」を毎年公開しています。それを見ると首都圏の鉄道各社で風速と運行停止基準に明確に触れているのは次の4社です。

風速25m/secで運行停止
JR東日本、京王
風速30m/secで運行停止
新京成、西武

京成は「風速が25m/secを越えた場合は、段階に応じて速度規制や運転の見合わせを行っています」(安全報告書)としており「風速30m/secで運行停止」の新京成に近い考え方のようです。また、安全報告書には書いてないのですが、車内や駅でのアナウンスから判断すると

風速25m/secで運行停止
小田急
風速30m/secで運行停止
東急

です。東急のアナウンスは渋谷駅のものです(私の家族からの情報)。

京浜急行には、風速と運行停止の間の固定的な規則はないようです。4月3日の強風を取材した日刊SPA(Web版 2012.4.4)に、次のように出ていました。

京急ご案内センターの話によると「多摩川、鶴見川の鉄橋付近、単線区間が残る京急久里浜から三崎口駅などの区間でかなり強い風が確認されたため、一時運転を見合わせました。基準値となる風速などは特に設定していませんが、風速、雨量、混雑具合など、現場の状況によって決めています」とのこと。

まとめると、以下のようになると思います。

風速と運行停止は、明快な基準を設定している会社が多いが、そうでない会社もある。基準も、風速25m/secで運行停止と、風速30m/secで運行停止の2つがある(もちろん運行停止の前段階として減速運転がある)。
標準軌の路線は風速30m/secのようであるが(新京成、京成)、狭軌の路線は風速30m/secの会社(西武、東急)と風速25m/secの会社(JR東日本、小田急、京王)に分かれる。

そもそも強風による減速運転や運行停止の基準は路線ごとの事情があるはずです。風が列車に強く影響するのは、多摩川や相模川、江戸川などの大きな川の鉄橋や、非市街地を高架が連続するような路線(たとえばJR京葉線)であることは明白でしょう。市街地ばかりを運行する路線とは影響度が違って当然です。

各社の安全性についての考え方にもよります。JR東日本の「安全報告書」には

以前は風速30m/secで運行停止だったが、羽越本線での特急脱線事故の反省から、風速25m/secで運行停止を統一基準にした。

という意味のことが明確に書いてあります。事故とは、2005年12月25日に羽越本線の最上川付近で突風により特急が脱線・転覆し、5人の方が亡くなった事故を指します。JRも以前は「風速30m/secで運行停止」だったのです。安全性に対する考え方や知見は進歩します。また風速はあくまで沿線に設置した風速計の測定値です。局所的には測定値より強いことも大いにあるでしょう。沿線の地形にも影響されるはずです。

運行の危険性以外の要因もあるはずです。京浜急行が風速による運行停止基準を決めていないのは、平行して走るJR京浜東北線・東海道線や横須賀線が風速25m/secで運行停止になると(JRはそう明確に宣言している)、状況にもよりますが、京浜急行も運行停止を考えないと駅に乗客が殺到して大混乱になる懸念があるからだと考えられます。「混雑具合など、現場の状況によって決めています」という京浜急行の案内センターの話は、そういうことだと思います。


横風に対する車両の安定性


しかし常識的に考えて軌間(ゲージ)が広い方が横風に対して安定のはずです。私の乗った小田急線(狭軌)は相模川鉄橋の風速計が25m/secを越えたため、転覆の危険性があるということで3時間ストップしました。これがもし風速30m/secで運行停止ということなら運行停止時間ははるかに短かったはずです。車内アナウンスでも風速30m/secを越えた時間は比較的短かったと記憶しています。

では標準軌と狭軌とでは横風に対する車両の安定性がどの程度違うのでしょうか。高校時代に習った物理を思い出して、安定性がどの程度違うのかを、ごくマクロ的に見積もってみたいと思います。

下の図において左は標準軌(1435mm)、右は狭軌(1067mm)の車両を表しています。重量は全く同じ、形も重心の位置も同じで、軌間だけが違うとします。車輪のAの点は横方向の力を受けた時に回転のみが許され、Bは全く自由とします(標準軌、狭軌とも同じ)。横方向の強い力をうけると車両はA点を軸に回転しようとし、B点が浮き上がるという想定です。なお図の右の狭軌の絵はJR東日本で一般的なE233系車両(幅:2950、高さ:4016)のスケールを模したもので、左はそれを軌間だけ標準軌としたものです。
車両模式図.jpg
ここで車両が横方向の力、FsとFnを重心に受けたとき、ちょうどB点が浮き上がった(=車両が不安定になった)とします。整理すると

Fs, Fn:
B点が浮き上がるときの、重心に作用する横方向の力
Gs, Gn:
標準軌と狭軌の軌間
H:
重心の接地点(レール)からの高さ
W:
車両の重量

です。そうすると、高校物理の知識から
数式1.jpg
となり、
数式2.jpg ・・・・・・ 
となります。標準軌の車両の車輪が浮くときの力(Fs)は、狭軌の車両よりも1.345倍大きいのです。それだけ狭軌より強い力が加わらないと車輪は浮かないということになります。


風の力


風圧.jpg次に風の力を見積もってみます。右図は理想化された状況で、広い壁に風が垂直に吹きつけています。今、図に示した壁の単位面積だけを考えるとし、風速を V m/sec、空気の密度をρとします。そして空気の分子は壁に当たる直前まで速度 V であり、壁に当たった瞬間に速度ゼロになって「壁にはりつく」とします。あくまで理想化されたモデルです。このとき壁の単位面積が受ける力(=圧力。風圧)はどの程度でしょうか。

これも高校物理の知識から推定できます。壁の単位面積に単位時間に「はりつく」空気の体積は V で、そこに含まれる空気の質量は ρV です。単位時間当たり「質量 ρV ・速度 V 」の物質が「質量 ρV ・速度ゼロ」に変化するのですから、運動量の変化と力の関係から壁の単位面積が受ける力(=圧力。P)は、
数式3.jpg
となります。風が垂直な面(たとえば列車の側面)に与える圧力は風速の2乗に比例するのです。

もちろん上の式は理想化された状況であって、当然、風は車両の上や下に「回り込む」ので実際の圧力はもっと小さくなる。車両の屋根の「丸み」も風圧を緩和するでしょう。上式は圧力の最大値を見積もった値だと考えられます。実際に工学・建築学などにおいて風圧を計算する式がいろいろ作られていますが、共通するのは、

風圧は風速の2乗に比例する。ないしは、
風圧を決める主な項は、風速の2乗に比例する

ということです。そこで以下は「車両に横風が与える風圧は風速の2乗に比例する」と考えて進めます。



余談ですが、飛行機の翼に作用する浮力(揚力)も速度の2乗に比例します。つまり、翼に当たった空気はいったん翼の上面と下面に別れて再び合流しますが、翼の形状から上面の方が合流までの流路が長く、従って空気の速度が速くなり、そのため物理の法則で圧力が低くなる。この上面と下面が受ける圧力差が浮力の要因です。この浮力の原理は壁に垂直に当たる風の圧力とは違いますが、速度の2乗に比例する力を受けるということではマクロ的に同じです。

大型旅客機だと300トンとか、そういうレベルの重さですが(自重に、燃料・乗客・貨物などを含めた離陸重量)、飛行場を滑走するだけで空気の力でフワッと浮かび上がる。信じられないほどのものすごい浮力です。空気の力は普段はあまり感じませんが、速度が上がるとまさに "加速度的に" 強くなる。よく台風の時などにトラックが横転したりしますが、それも納得できる感じがします。



風速と標準軌・狭軌に話を戻します。標準軌の車輪が浮くときの力 Fs を横風によるものとし、その時の風速(=危険風速)を Vs とします。同様に、狭軌の車輪が浮く時の風速を Vn とします。風速がそれぞれ Vs, Vn になると「危険」というわけです。標準軌の車両と狭軌の車両が全く同じ形だとすると、
数式4.jpg ・・・・・・ 
となります。kは適切な比例定数です。ここで、Vs/Vn、つまり標準軌と狭軌の危険風速の比率を「危険速度比」と定義すると。①②より
数式5.jpg
となって、危険速度比は 1.16 ということになります。つまり大局的に言うと

標準軌の車両が危険になる風速は、狭軌の車両が危険になる風速の1.16倍(=危険速度比)である。

ということになります。これを狭軌であるJRの運行停止基準・25m/secに当てはめると、

  25 m/sec × 1.16 = 29 m/sec

となり、これは30m/secで運行停止とする新京成(標準軌)の基準とほぼ同じになるのです。小田急線が仮に標準軌だったとしたら「風速30m/secで運行停止」が基準となり、相模川は徐行運転で渡れた、ないしは運行停止は1時間程度だったという想定は十分に可能だと思うのです。



ここまで書いてきて思い出すことがあります。風圧が風速の2乗に比例することは高校物理の知識で推定できましたが、「風圧の風速2乗則」という形で教科書にダイレクトには書いてなかったと思います(私の記憶なので、今の教科書には書いてあるかもしれません)。しかし高校の物理の教科書に昔からあり、今でも間違いなく載っているはずの「速度の2乗に比例する有名な力」があります。それは遠心力です。


遠心力


回転運動する物体(質量 M)は、回転半径(R)に逆比例し、速度(V)の2乗に比例する「見かけの力」を回転中心とは逆の方向に受けます。これが遠心力ですね。式で表すと
数式6.jpg
です。この式は、係数の違いはあれ、風圧の式と同じ形をしています。ということは、車両がカーブを曲がるときに遠心力によって内側の車輪が浮く車両速度については、風によって車輪が浮くときの風速と全く同様の議論ができることになります。

もちろんカーブには遠心力をなるべく打ち消すような勾配がつけてあるので、まったく同じ議論にはならないでしょう。しかし「標準軌と狭軌の列車がカーブを曲がるときの比較」ということにおいては、風速における「危険速度比 = 1.16」と同じ議論がマクロ的に成り立つはずです。


福知山線での惨事


2005年4月15日 午前9時すぎ、JR西日本・福知山線の列車が塚口・尼崎間のカーブを曲がりきれずに脱線し、線路脇のマンションに激突して大破、死者107人、重軽傷者500人以上という大惨事になりました。

事故調査委員会は「半径300メートルのカーブに時速116kmで突っ込んだための単純脱線事故」と結論づけています。この「半径300メートルのカーブに時速116kmで突っ込む」という行為がどんなものか、ちょっと想像してみたいと思います。先ほどの「危険速度比 = 1.16」という考察からすると、

福知山線(狭軌)の出していた時速116kmという速度は、カーブ走行の危険度の観点からすると、標準軌の車両(たとえば平行して走っている阪急電車)の時速135km(116km の 1.16 倍)に相当する。

と言えます。

素人の常識的な感覚として、R300 のカーブを時速135kmで走行するのは極度に危険という印象ではないでしょうか。クルマと電車は違うので安易な比較はできませんが、標準軌の軌間(1435mm)と普通乗用車のタイヤとタイヤの間隔(トレッド)はほぼ同じです(私のレガシーのトレッドは1490mm)。クルマだったら R300 のカーブはどうか。

東名高速道路の下り線、大井松田・御殿場の間の神奈川・静岡県境付近にR300 の高速道路としては強いカーブが数箇所あります(右ルート。R300×3、R310、R320 の5つのカーブが連続する)。確か制限速度は 80km/h だったと思います。何度も通ったことがありますが、制限速度付近で走行しても、特に交通量が多い時には緊張するところです。この「右ルートR300連続区間」を時速135kmで走行するなど、まず(私には)考えられない。それは一言でいうと「無謀」です。

全く逆の見方をして、もし仮に福知山線が標準軌だったらどうでしょうか。「危険速度比 = 1.16」ということからマクロ的に推察できるのは、

カーブ走行において、標準軌の車両の時速116kmの危険度は、狭軌の車両の時速100km(116 / 1.16)の危険度に相当する。

ということです。

仮に福知山線が標準軌だったとしたら、問題のカーブの危険度は、現在のJR(狭軌)の 100km/h 走行に相当するのです。現在のJRの車両が R300 のカーブを 100km/h で走行したとして、はたして脱線するでしょうか。R300 のカーブの制限速度は 70km/h とか 80km/h のはずですから、速度超過であることは確かです。しかし 100km/h というのは直線区間では通常運転で出るスピードです。私がよく乗る東海道線のトップスピードは115km/h - 118km/h です。100km/h がとりたてて「速い」というわけではない。100km/h で減速せずにカーブに入り、制限速度の20-30kmオーバーで通過する・・・・・・。危険だとは思いますが致命的な結果にはならないと思いますね。制限速度は単にカーブを曲がる安定性だけでなく、突風が横から吹くとか、置き石をされるとか、いろいろなリスクを考慮した速度になっているはずです。素人考えですが・・・・・・。福知山線が標準軌だったら、あの惨事は起こっていないと思います。


ハンディキャップ


もちろん「福知山線が標準軌だったら、あの惨事は起こらなかっただろう」というのは、何らかの意味がある言い方ではありません。JRは明治時代から(世界標準に反して)狭軌であり、いまさら変えられるものでも何でもないからです。過去からそうであったように、今の軌間でいかにより安全な運行を実現するか、努力を続けるしかない。

しかし確実に言えることは「JRは、標準軌の私鉄に対して輸送力の点で不利」ということです。特に福知山線と阪急宝塚線のように、大都市圏を平行して走る路線で不利です。カーブの多い市街地で同じレベルの安全性を確保しようとすると、どうしても「1.16 : 1.00」という「危険速度比」のスピード差がついてしまう。全く同じ線路を走るわけではありませんが、似たような地区を似たような経路で走るのだからマクロ的には似たようなカーブがあるはずです。カーブでの減速はその前後の直線区間のスピードにも影響する。

16%の速度差は大したことはないと思えるかもしれません。確かにウィークデイの昼間において30分かかるところが35分になるとしても大したことではない。しかし問題は大都市圏における朝夕のラッシュ時です。ラッシュでは、たとえば3分間隔で運行というようなダイヤ編成があるわけですね。こういった過密ダイヤにおいては「危険速度比」が路線の輸送力に少なからぬ影響を与えると想像されます。そこに起因するJR西日本の「焦り」が悲劇の遠因になってはいないでしょうか。特に大手私鉄が標準軌の関西では・・・・・・。



日本の鉄道建設は明治時代にイギリスの指導で始まりました。世界的にメジャーである標準軌(1435mm)は、その鉄道発祥の国・イギリスが決めたもので、既に1846年にイギリス国内では標準軌に統一する法律が制定されています。国内で軌間がバラバラではまずいのです。狭軌(1067mm)はイギリスが植民地で建設を始めていた軌間です(オーストラリア、セイロン)。おそらく敷設コストが安いからだと想像します。植民地経営の効率を考えたイギリス人らしい合理主義でしょう。しかし狭軌の車両の図(前の方の図の右)を見ても分かるように、狭軌は軌間が車体の幅のほとんど3分の1しかないわけです。素人目にも「これでよいのか」という疑問が生じる

明治政府はなぜ「イギリス本国規格」を採用しなかったのでしょうか。明治初期の「日本が新興国であった時代」には、多くのものをイギリスやドイツに学び、西欧のデッド・コピーも多々ありました。たとえ背伸びであっても「イギリス本国と同じものを!」と政治家が声高に主張してもよいはずです。深く考えなかったのか、調査不足なのか、それともコストを優先したのか・・・・・・。確定的なことは分からないようです。大きな教訓は「大きな投資を必要とするインフラの整備においては、標準化やメリットをよくよく検討しないと、巨大な損失を招く」ということだと思います。ちょうど東と西で電力を融通しにくい電力会社のように・・・・・・。

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2012年4月3日、私の乗った小田急線(狭軌)は強風のため相模川鉄橋を渡れず、3時間の足止めになりました。もし標準軌だったら足止め時間は全く違ったかもしれません(かもしれないのであって、同じ列車運行基準になることもありうる)。

そのちょうど7年前の2005年4月15日、JR西日本・福知山線の列車(狭軌)が塚口・尼崎間で脱線し、107人もの命が奪われました。もし標準軌だったら事故はなかったかもしれません(かもしれないのであって、同じ事故になることもありうる)。

「かもしれない」と思わせる2つの出来事の "重大さ" は、あまりにも違い過ぎます。違い過ぎるけれど、実は "速さの2乗に比例する力" という物理法則によって、見えないところでつながっているのではないか。そう思いました。




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